重心の左右の差をつかさどるボイタ法と側臥位(横向き寝)について

おはようございます!院長の大西です(^^)

本日の話題は「ボイタ法」と「側臥位」です。それぞれの単語の意味を含め、その効果を「姿勢を良くする」という観点から詳細に説明しますね。

長文となりますが、最後まで読んでいただくと、明日からの「寝る」という概念がわかります(^^)

ボイタ法

ボイタ法とはドイツのボイタ博士というお医者様が考案した、脳性麻痺のお子様(生まれつき脳に問題があり、上手に歩けなかったり寝返れなかったりするお子様のことです)のリハビリの方法です。1960年代後半にドイツで確立され、日本には1975年にやってきました。日本の冨雅男という医師と渡辺隆という理学療法士と砂川勇という理学療法士によって、日本に広められました。

私は、縁あって学生時代から、渡辺隆氏と砂川勇氏のお二人の理学療法士から、直接ボイタ法を学ぶ機会がありました。お二人ともパワフルで、学生の私にとっては意味の分からないこと?を教えてくれる先生方でした(^^)

今でも、ボイタ法を科学的な概念で言語化することは難しいです(;^_^A

ボイタ法は不思議な力を持っています。私が学生の時の実習先であった、「ヨゼフ整肢園」ではこのボイタ法を学んだ理学療法士が多くいました。そこでは、脳性麻痺の赤ちゃんから大人まで、ボイタ法をリハビリの柱にした治療が展開されていました。(今はヨゼフ整肢園➡聖ヨゼフ医療福祉センターになっています)

学生だった私は、何人ものボイタセラピスト(ボイタ法の正規の教育を受けた理学療法士をそう呼びます)のリハビリを2か月にわたって見学しました。脳性麻痺のある男の子は、手を放して自分で歩けませんが、テーブルにつかまって立つことはできます。立つと、右膝と左膝が当たったまま離れません。専門的には「股関節の内転筋の筋緊張が強くて、股関節が外転できない」といった状態となります。平易な言葉に置き換えると、「股を閉じる筋肉が緩まなくて、両膝を開いて立つことができない。」といった表現になります(^^)

脳性麻痺ではない人でも、立ったり歩いたりで、両膝が近すぎる人がいます。こういった癖のある脚を「X脚」と呼びます。ただ、脳性麻痺でなければ、筋肉の硬さはわずかで、頑張れば右膝と左膝は離れます。

しかし、脳性麻痺の場合は、脳の問題により筋肉が異常に力を出しっぱなしの状態(これにより股が閉じたままになり膝と膝がついてしまします)となります。この本人の意思とは無関係な筋肉の力が、両膝をつけてします。

この時の脳性麻痺のお子様は5,6歳だったでしょうか・・・

25年前のことゆえ、記憶が定かではありませんが(;^_^A

膝と膝が重なるほど閉じてしまう子供に、男性の理学療法士が10分ほどうつぶせの状態で「ボイタ法」を実施しました。実施しましたとはいえ、ただうつ伏せの複雑な姿勢を取らせて、じっとツボのような場所を抑えているだけです。数分後にボイタ法が終了しました。じっとしている数分は、学生の私にとっては眠たくなる時間です(^^)

かろうじて起きていましたが(;^_^A

そして、ボイタ法が終了し、お子様が同じテーブルにつかまって立ちました。するとどうでしょう!重なるように押し付けられていた両膝は、拳一個分ほども開いているではありませんか!

私は眠気が一瞬で吹き飛び、眼が飛び出そうになったのを今でも忘れません。

「脳性麻痺」は大人で言うところの「脳卒中」に似ています。脳の障害があるがために、体の動きが不自由になり、感覚も感じなくなったりする状態です。

昔は、脳の障害は一切回復しないと言われ続けてきました。しかし、今は違います。使っていない脳は退化するが、「使って使って使う!」を繰り返すと、脳は次第に賦活されてくる!!というのが当たり前です。このような脳の変化のことを「脳の可塑性」と呼びます。可塑性とは、「変化する」という意味です。時代は「脳は変わらない」から「脳は変わる」に180度方向転換して久しいのです(^^)

ボイタ法は、赤ちゃんが生れ落ちて2か月ごろから8か月ごろまでの運動をモチーフにして、脳に障害があっても赤ちゃんに戻ってトレーニングすることで、脳を改変していく方法です。これによって、脳が変わり、筋肉が変わり、感覚が変わり、姿勢が変わり、動きが変わります(^^)

筋肉が働かなければ人間は座っている事すらできません。また、感覚が無ければ、筋肉が正常に働くことができません。理学療法士の渡辺隆先生は、いつも言っていました。「感覚だけを創り出すことはできない。運動が起こるから感覚が生じるんだ」と・・・

ボイタ法は、学生を眠りに誘うじっとしているリハビリです(;^_^A

しかし、じっとしていても、確実に筋肉の収縮が強くなってきます。これを見抜くのは、熟練の手と目が必要です。しかし、毎日繰り返すことで、見る目は育ち、少し呼吸が大きくなったとか、息を吐くのが強くなってるとか、体幹が締まってきたとかを感じ取れます(^^)

そして、筋肉が出す力が強く、長くなってくると、感覚も生まれてくるというわけです(^^)

このボイタ法には「反射性寝返り」と「反射性腹ばい」という大きく2つのジャンルがあります。前者の「反射性寝返り」は、背臥位(あおむけ寝)の姿勢や、側臥位(横向け寝)の姿勢で行います。

これに対して「反射性腹ばい」は、腹臥位(うつ伏せ寝)の姿勢で行います。

では側臥位(横向き寝)の話題です。

側臥位(横向き寝)

側臥位とは、横向いていて寝ている姿勢を指します。夜寝る時も、右か左を向いて寝る人が多いのではないでしょうか?

「いやいや、私はうつ伏せで寝るのが大好きだ!」

という方もいらっしゃるかもしれません。そのような意見の方、最高に素晴らしいことです(^^)/

うつ伏せは、年齢が進むと仰向けや横向けより、真っ先に寝られなくなる姿勢です。うつ伏せは無理やり体をまっすぐにさせられたり、顔面を左右のどちらかに大きく回せなければゆっくりできないからです。つまり人生で必要な寝る姿勢のトップは「うつ伏せ」です!

うつ伏せで、リラックスして顔を横に向けて全身がまっすぐにできると、姿勢の老化を遅らせることが可能です。

2番目にできなくなるのは、仰向けです(^^)

仰向けは、うつ伏せほど顔を横に向ける必要が無い分、背骨の回旋可動域(後ろを振り向く範囲)が狭くても大丈夫です。しかし、全身がまっすぐに伸びないと、仰向けもきつくなってきます。これが姿勢の老化が進行しているということです。

最後に残るのは側臥位です。側臥位は横向けで寝ることです(^^)/

この「側臥位が一番楽な姿勢だ!」という方の多いこと(;^_^A

しかし、側臥位でしか寝られないことは、姿勢が悪くなっている証拠です!ぜひ、仰向けやうつ伏せで寝る時間を作りましょう!

仰向けやうつ伏せで「グーグーzzz」寝る必要はありません。体がまっすぐになっている時間を創り出すことが、良いトレーニングになるという意味です。毎日5分でも、10分でもよいので、うつ伏せで寝てください(^^♪

「うつ伏せは無理!!」という人は、仰向けで寝てください(^^♪

ようやく本題の「側臥位」の話になります。横向きで寝る「側臥位」は、じつは座ったり立ったりしたときの、重心の左右の差を創り出します。

「えっ?! 寝る方向と立った時の体重のかかり方に関係なんてないだろ・・・」

と思われた方は多いですね。むしろすべての方がそう思いますよね(;^_^A

しかし、実際にやってもらうとわかりますが、じっと右下で寝ている時間を10分ほど作ると、そのあと座っている時に、右のお尻の方に体重が乗っているはずです(^^)

逆に、左下で寝ている時間を10分ほど作ると、そのあと座っている時には左のお尻に体重が乗っているはずです(^^)

左右を、比較して試してください。大きく変化する人もいれば、はっきりわからないという人もいます。しかし、毎日、毎日、寝ている時間が8時間あって、その8時間のほとんどを右向きの横向き寝(側臥位)で過ごしていると、いつの間にか右にばかり重心が偏った姿勢になっていきます(;^_^A

つまり、体重が右のお尻に乗っている左右非対称な座位姿勢となります。立った時も、なぜか右足に体重を預けたい欲求に駆られる、ということが起きます(;^_^A

皆様、夜の寝相、お気を付けください(^^♪

ボイタ法と側臥位

最後に、ボイタ法で使う側臥位です。

ボイタ法には「反射性寝返り」と「反射性腹ばい」があります。このうち前者の「反射性寝返り」の第Ⅱ相に側臥位を用います。例えば、ケガをしたり、脳卒中を患ったりで、右足に体重が乗せにくい状態のクライアントは多いです。そんな時は、痛みさえなければ、体重を上手に乗せたい右側を下にして寝ます(痛みをこらえてやってはいけません!)。そして、「上前腸骨棘」という骨盤の前の突起と、「肩甲骨の内側縁」という肩甲骨の背骨寄りの部分を刺激します。3分とか5分とかじっと刺激していると、そのあと立ち上がった時には、右足に体重が乗せやすくなっています(^^)

上手な「ボイタセラピスト」であれば、劇的に立った時の姿勢を変えてします。同じことが座っている姿勢でも言えます。

座っていると、なんとなくお尻の右側ばかりに体重が乗ってしまい、「まっすぐ座れていない感覚」を感じる人は多いのではないでしょうか?

「普段意識したこと無いよ!」という方は、ぜひ、平らな椅子にまっすぐ座って、自分のまっすぐな姿勢を取ってください。そして、右のお尻と、左のお尻のどちらがより体重を受けているように感じるか?

感じ取ってもらえましたか?

座った時に、

「右のお尻は接触しているのに、左のお尻が浮いているな」

と感じたら、左半身を下にして寝てください(^^♪

数分じっと左側臥位で寝ていただけたら、ゆっくり起き上がってまた座ります。左下で寝ていたあとは、先ほどよりも左のお尻に接地感が生まれているはずです(^^)

人間の体は不思議なものです。病気や痛み、人間の動き、脳、どれもまだまだ解明されていない事ばかりです。この解明されていないことに人類は挑戦を続けてきました。これからも挑戦を続けます。

皆様の姿勢が良くなって、多くの違和感や症状を減らす一助となることを切に願っております。

長文を最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。心より感謝申し上げます。

まとめ

ボイタ法はドイツから1975年に日本にやってきた「脳性麻痺」のリハビリの一手段です。

ボイタ法には「反射性寝返り」と「反射性腹ばい」があります。

側臥位を使う「反射性寝返り第Ⅱ相」のように、横向き寝は、座位や立位の左右の重心を変えます。

寝相には気をつけましょう(^^)

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